グレースケール、Strategyに約30億ドル超のBTC売却を提案—資金繰り懸念の沈静化狙う
AI マーケットサマリー
GrayscaleとGalaxyのコメントは、Strategyの優先債務をめぐるバランスシートおよび資金調達構造に関する懸念の高まりを浮き彫りにし、それらをより広範なビットコインのリスクセンチメントと結び付けている。3Bドル超のBTC売却の可能性に関する議論に加え、2022年以降で初となるStrategyのBTC売却が確認されたことで、「決して売らない」というナラティブが揺らぎ、BTCが主要なサポートを試す局面で信認に圧力がかかっている。Strategyの市場評価の弱さは、将来の暗号資産トレジャリーの資金調達も制約している。
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グレースケールのリサーチ責任者ザック・パンドル氏は、Strategyのバランスシートと優先株の設計を巡る懸念が強まる中、市場の信認回復には30億ドル超のビットコイン(BTC)売却が有効になり得るとの見方を示した。向こう2年間の現金債務の大半をBTC売却で賄えるとしている。
同氏は、Strategyが優先株STRCの配当率を50bp(0.50%)引き上げる可能性があるとも述べた。一方で、その場合でも2年間で約1億ドルの追加負担が発生し、「市場の信認にはおそらく寄与しない」と指摘した。発言当時、STRCは額面(パー)100ドルを大きく下回って推移し、BTCは59,000~60,000ドルのサポート帯を試す局面だった。
■30億ドル超のBTC売却で2年分の資金需要をほぼカバー
パンドル氏は、優先株がディスカウントで取引され続ける状況では、配当率引き上げよりもBTC売却の方が効果的だとの見立てを示す。Strategyの優先配当の年間負担は約12億ドルで、主にSTRCや他の優先性商品が要因。
STRCは基準価格の100ドル近辺での取引を想定した設計だが、金曜日には一時71.25ドルまで下落し、額面比で約29%下回った。出所:X
同社は最新の8-Kによれば、米ドル準備金を3億ドル積み増し、14億ドルとした。CryptoQuantは、この準備金で配当を賄える期間は約14カ月にとどまり、かつては7年超あったクッションが大きく縮小したと分析。BTC購入をいったん停止し、現金ポジションを再構築すべきだとも提言した。現金準備が2026年に38%減少したことから、投資家の関心が資本構成に向かいやすい状況だという。
■ノボグラッツ氏、BTC下落をStrategy不安と関連づけ
Galaxy DigitalのCEO、マイク・ノボグラッツ氏は、直近のBTC下落について「MicroStrategy主導の複雑な構造を巡る信認崩れ」が背景にあると述べ、BTC全体の信頼感にも波及していると主張した。売りの要因として、米金融政策のタカ派姿勢や暗号資産センチメントの悪化も挙げた。
ノボグラッツ氏は、Strategyが32BTCを売却したことで、「マイケル・セイラー氏の会社は決してBTCを売らない」という見方が傷ついたとも指摘。売却は5月26日~5月31日に実施され、平均売却価格は1BTCあたり約77,135ドル。保有総量に比べれば小規模だが、2022年12月以来初のBTC売却として注目された。
セイラー氏が共有したStrategyTrackerのチャートによると、同社の保有量は847,363BTC。2026年6月28日時点の評価額は508.8億ドルで、購入は計113回、平均取得単価は1BTCあたり75,653ドルとされる。
ノボグラッツ氏は、59,000~60,000ドルのサポートを割り込めば、BTCが45,000ドル方向に向かう可能性があると警戒した。これは市場予想であり確定的な結果ではなく、売り圧力が継続するかどうかに左右される。
■mNAVが初めて1.0割れ、資金調達モデルに逆風
こうした見方が交錯する中、Strategyの企業価値倍率(mNAV=企業価値÷純資産価値)が初めて1.0を下回った。株式市場での評価が、バランスシート上のBTC現物価値を下回ったことを意味する。
同社は、株式や優先株を有利な条件で発行して資金を調達し、BTCを追加購入するモデルに依存してきた。MSTRやSTRCが弱含む局面では、既存株主の希薄化や債務負担の増加を伴わずに資金調達を進める難度が上がる。
MSTRは金曜日終値が82.31ドルで、週次では26.86%下落。年初来では45%超下げている。BTCも59,000ドル近辺と20カ月ぶり安値圏で推移した。出所:X
それでも同社は6月15日~6月21日に520BTCを3,490万ドルで購入した。セイラー氏は昨日、StrategyTrackerのデータとともに「We're gonna need more charts」と投稿し、同社のBTC財務戦略への注力姿勢を示した。
■BTC売却以外の選択肢も議論
CryptoQuantは、STRCを支えるためにBTC売却が必須ではなく、現行11.5%の配当利回りを引き上げるなど別の手段もあると指摘。ただしパンドル氏は、投資家が現金カバーと優先配当負担に注目し続ける限り、配当引き上げだけでは信認回復につながりにくいとの見方だ。
ビットコイン支持者サムソン・モウ氏は、STRCには「自己修復メカニズム」があると主張。株価が100ドルを下回るとStrategyが新規のATM(at-the-market)発行を停止し、価格下落により新規購入者の実効利回りが上がるため、需要を呼び込み、時間をかけて額面近辺に戻る可能性があるという。
また、既報のとおりRippleのCEOブラッド・ガーリングハウス氏も先週、StrategyのBTC調達手法を批判した。BTC自体には強気姿勢を維持しつつ、セイラー氏の優先株モデルがSTRCの過去最安値更新とともに暗号資産市場全体に悪影響を与えたと述べた。