米PPIが減速し利上げ観測は後退、ただし長期資金調達コストの上振れ圧力は残る

Huoxing Financeによると、8月14日に公表された米国の7月生産者物価指数(PPI)は前月比が予想外に横ばいとなり、前年比は4.7%に低下した。前日に発表されたCPIの鈍化に続く内容で、エネルギー価格の下落が生産段階のインフレ圧力を和らげていることが示された。これを受け、市場が織り込む9月のFRB利上げ確率は約50%から35〜40%程度へ低下した。 一方、食品・エネルギー・貿易サービスを除く最終需要コアPPIは前月比0.4%上昇し、基調的な価格圧力が完全には収まっていないことも浮き彫りになった。新規失業保険申請件数は20.9万件に増加し、労働市場に緩やかな冷え込みの兆しがみられる。 より重要なのは、インフレ鈍化だけでは米国の長期的な資金調達課題が解消されていない点だ。米財務省は30年国債250億ドルの入札を実施し、落札利回りは5.216%と2001年以来の高水準となった。高止まりする財政赤字、国債発行増、そしてFRBが主要な買い手としての役割を後退させるなか、超長期債には供給を吸収するための期間プレミアム上昇が求められている。短期のインフレ圧力が弱まっても、米国の借入コストが早期に大きく低下しにくい可能性が示唆される。 為替市場では、日本の円買い介入後にもかかわらず、ドル円は再び160円近辺まで接近した。介入後の円の戻りを受け、円を調達通貨とするポジションを再構築する動きもみられるという。日米金利差が続く限り、低コストの資金調達通貨としての円の魅力は根強い。日銀の利上げや追加介入があれば、為替とレバレッジに絡むボラティリティが一段と高まるリスクがある。 総じて、7月の物価指標はFRBに様子見の余地を与えたものの、金融環境の早期緩和を意味するわけではない。短期金利を巡る圧力が和らいでも、米財政赤字、長期債の供給、エネルギー価格、円キャリートレードが、長期金利や世界の資金調達コストを通じて資産価格に影響を与え得る。市場が注視すべきは単発のインフレ指標ではなく、ディスインフレが持続するか、そして長期の資金調達コストが同時に低下していくかどうかだ。