米国"CLARITY法"、暗号資産の規制線引きを再設計へ
CoinDeskによると、米議会で審議が進む"CLARITY法"(CLARITY Act)は、暗号資産を米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)のどちらが所管するのかという、業界の根本課題に決着をつける狙いがある。下院では2025年7月時点で超党派の支持を得ており、上院でも2026年5月までに主要委員会を通過した。
米国では長年、暗号資産の規制区分が曖昧なまま推移してきた。SECは多くのトークンを証券と位置づけ、執行措置を軸に規制を進めてきた一方、CFTCはビットコインや一部トークンをコモディティとみなしてきた。こうした二重構造は、プロジェクトチームや取引所、開発者に不確実性をもたらし、より明確な制度を持つ海外市場へ事業を移す企業も出ているという。
法案の柱は、デジタル資産を法定の3区分に整理し、それぞれに異なる監督枠組みを適用する点にある。具体的には、(1) デジタル・グッズ:CFTCが監督、(2) 投資契約資産:SECが監督、(3) 許可制の決済用ステーブルコイン:別建ての枠組みで規律、という設計だ。
"デジタル・グッズ"は、高度に分散化され、実用性を備え、単一主体に支配されないネットワーク・トークンを主に想定し、代表例としてビットコインが挙げられる。投資性が強いトークンは従来通り証券法の下で情報開示や投資家保護の対象となる。
もう一つの特徴は、プロジェクトの成熟に応じてトークンの規制上の分類変更を認める点だ。記事では、多くの暗号資産プロジェクトは初期には中央集権的な運営体制に依存し、投資家もチームの実行力に賭けるため証券に近い性格を帯びやすいと指摘する。時間の経過とともにネットワークが分散化し、トークンが実用機能を担うようになれば、コモディティに近い性格へ移行し得る。このため、当初はSECの監督下にあるトークンでも、法律が定める分散性・実用性の基準を満たせばCFTC監督へ移管できる仕組みとなる。資金調達段階とネットワーク運用段階を切り分け、全期間を同一規制で縛らない設計を目指す。
法案は監督権限の整理に加え、市場インフラ側の順守要件も盛り込む。過去の業界リスク事案で顕在化した課題を踏まえ、顧客資産の分別管理、利益相反の開示、一定のコンプライアンス基準などを求める内容だという。
進捗状況を踏まえると、本法案はこれまでの米国の暗号資産市場構造をめぐる提案の中でも成立に近い部類とされる。上院での可決と大統領署名を経て成立すれば、執行や訴訟を通じて境界線が引かれてきた米暗号資産業界のルール形成が、より明確な成文法ベースへ移行する可能性がある。