ストライプとアドベント、ペイパルに総額530億ドル超の買収提案 BridgeとPYUSDを傘下に

AI マーケットサマリー
StripeとAdventがPayPalに対し、要請を受けない形で530億ドルの買収提案を行ったとの報道は、主流の決済と暗号資産レールの間で進む統合が加速していることを浮き彫りにしている。StripeのBridgeによるステーブルコイン・インフラと、PayPalのPYUSDおよび消費者向け暗号資産取引を組み合わせることで、規制下にあるステーブルコインの流通拡大と、暗号資産決済の大規模な一般化が進み、より広範な市場のリスク選好を下支えし得る。取締役会の承認が必要であることに加え、反トラストおよびステーブルコイン規制当局による精査が見込まれるため、実行リスクは依然として高い。
影響度
● 高い
影響を受ける資産
BTC/USDT+1.07%
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▲ 強気
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決済大手ストライプ(Stripe)がペイパル(PayPal)を買収すれば、両社がそれぞれ進めてきた暗号資産関連事業が単一企業に集約される可能性がある。ストライプのステーブルコイン基盤「Bridge」と、ペイパルの米ドル建てステーブルコイン「PYUSD」、さらにペイパルの暗号資産売買機能が同じ傘下に入る構図だ。 ロイターが水曜日、関係者の話として報じたところによると、ストライプとプライベートエクイティのアドベント・インターナショナル(Advent International)は、ペイパルに対し1株60.50ドルでの共同買収を打診した。買収総額は530億ドル超に相当する。フィナンシャル・タイムズとCNBCも提案の存在を確認した。 両社の暗号資産領域の足場はすでに大きい。ペイパルはパクソス(Paxos)を通じて発行するドル連動型ステーブルコインPYUSDを展開しており、DefiLlamaによれば水曜日時点の流通額は約28.3億ドル。ペイパルの口座基盤に向けてビットコインなどの売買機能も提供している。 一方のストライプは、同社の暗号資産スタックを支えるステーブルコインAPI事業「Bridge」を11億ドルで買収した。これは当時、決済企業による暗号資産分野の買収として最大規模とされた。その後、ウォレット系スタートアップのPrivyを買収(金額非公表)し、暗号資産ベンチャーのパラダイム(Paradigm)とともに決済志向のブロックチェーン「Tempo」も立ち上げている。 取引条件に関してロイターは、提示価格は7月14日のペイパル終値47.37ドルに対して約28%のプレミアムに当たり、約500億ドルのコミット済み銀行融資が裏付けると伝えた。CNBCによれば、ストライプ、アドベントに加えブロック(Block)が合計約170億ドルを自己資本として拠出する。ストライプとアドベントは同率出資で、ペイパルを分割せず共同で保有する方針とされる。報道を受け、ペイパル株は水曜日の市場前取引で約16%上昇した。 暗号資産市場の観点では、意味合いは「統合」だ。主流の決済レール上にステーブルコインを押し広げてきた2社が、発行・流通・決済を一体運用できる体制を築けば、数億人規模の消費者と加盟店に届くスケールで、規制下のブランド型ステーブルコイン活動が一段と集中することになる。銀行やフィンテック各社が独自トークンの立ち上げを急ぐ局面だけに、影響は小さくない。 The Hashgraph Groupの共同創業者兼CEO、ステファン・ダイス(Stefan Deiss)氏はメールで、「今回の提案は、主流の決済インフラがこれまで以上の規模で暗号資産レールへ収斂していることを示す」と指摘した。ダイス氏は「統合後のストライプ・ペイパル連合は、ペイパルのPaxos連携によるビットコインへのアクセスと、ストライプのBridge買収によるステーブルコイン基盤を通じて、4億人超の消費者にシームレスな利用経路を提供し得る。これほどの到達範囲は暗号資産の普及を大規模に常態化させる」と述べた。 ストライプは2月の従業員向け株式売却(テンダー)で約1,590億ドルと評価された。The Defiantによれば、同社は関連スタックの組み上げを進めており、Bridgeのステーブルコイン連動カードはビザ(Visa)とともに100カ国超へ拡大している。ペイパルも3月にPYUSDの提供地域を70市場へ広げ、口座内での購入・保有・送金・リワード獲得を可能にしている。 もっとも、PYUSDの流通規模は最大手に及ばない。DefiLlamaのデータでは、テザー(Tether)のUSDTが約1,840億ドル、サークル(Circle)のUSDCが約730億ドルに達する。 ダイス氏は、両社の戦略は簡単には融合しないともみる。「Bridgeを軸にしたストライプのステーブルコイン優先アプローチと、ビットコインを含むマルチコイン型のペイパルは、根本的に異なる技術スタックだ」とし、「統合企業が想定する規模では、コンプライアンス、監査可能性、決済を機関投資家レベルの保証で処理できるエンタープライズ級の分散型台帳インフラが必要になる」と語った。 現時点で取引成立は確定していない。報道によれば、両社は4月上旬に最初の打診を行い、今月に入って提案を提出したが、ペイパルはまだ回答していない。買収提案は敵対的(非要請)で、取締役会が受け入れる保証も、合意に至る保証もない。 ペイパルは2021年のピーク時に時価総額が約3,600億ドルに達しており、株主の一部が1株60.50ドルを過去水準と比べて低いと捉える可能性もある。規制当局の審査もハードルとなる。ダイス氏は「統合後の市場シェアを踏まえれば独禁法上の精査は不可避」とし、「暗号資産領域では、ステーブルコイン規制がPYUSDやBridgeの統一所有下での運用方法を左右する」と述べた。 CNBCによると、ペイパル取締役会は早ければ7月20日に提案を協議する見通し。関係者は今後数週間で協議を前進させたい考えだ。