米SEC、暗号資産向け新規制案「Regulation Crypto Assets」を公表

AI マーケットサマリー
SECが提案する"Regulation Crypto Assets"は、特定の暗号資産関連の投資契約について、適用除外と条件付きのセーフハーバーを概説しており、コンプライアンスに準拠したトークン資金調達と、最終的に証券類似の取り扱いから移行するための、より標準化された道筋を追加する。適格取引における州登録を制限しつつ、開示、報告、および再販売条件を明確化することで、この枠組みは、コメント募集および最終的な委員会承認を前提として、米国に関連する発行およびセカンダリー取引に関する規制上の不確実性を低減し得る。
影響度
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影響を受ける資産
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Foresight News(ChandlerZ)によると、米証券取引委員会(SEC)は8月18日、暗号資産に関わる特定の投資契約について、明確で実務適用可能な枠組みを整備する新規則案「Regulation Crypto Assets」を公表した。SECはこれに先立ち、2026年3月に、一定の暗号資産および関連取引に連邦証券法をどう適用するかを示す解釈指針を出している。 今回の規則案は、暗号資産に関わる"特定の投資契約"のみを対象とし、株式・社債など従来型証券のトークン化(トークン化証券)は引き続き証券法の対象とする。GENIUS Actが定義する決済用ステーブルコインは別枠の制度の下で規律される。 ■規則案の骨格:登録義務を外す2つの免除 規則案は、1933年証券法の登録要件から除外するための免除を2種類設ける。 (1)スタートアップ向けのワンタイム免除(上限500万ドル/最長4年) Form NORを提出した後、最長4年間で最大500万ドルまで調達できる。プロジェクトは自社ウェブサイト上で、トークンの概要、チーム、開発ロードマップ、供給・配分、ガバナンス、セキュリティ、リスクなどを開示し、重要な変更があれば年次で更新する。4年期間の終了前には、Form TRをSECへ提出し、プロジェクトおよび投資契約の状況を報告する。 (2)資金調達免除(Regulation Aをモデル、2階層) Tier 1は12カ月あたり最大2,000万ドル、Tier 2は最大7,500万ドル。いずれもForm 1CRYPTOの提出と、年次・半期・重要事象の継続開示が求められる。Tier 1は未監査財務諸表でも可、Tier 2は監査済み報告が必須。非適格投資家(nonaccredited investors)は、年収または純資産のいずれか大きい方の10%を超えて購入できない。 ■条件付きセーフハーバー:投資契約からの"出口" 規則案には、主要な開発作業を完了した、または恒久的に停止したプロジェクトチーム向けの条件付きセーフハーバーも盛り込まれる。要件は、新たな主要開発のコミットメントを行わないことなど。条件充足を公に確認するため、EDGAR上でForm TRを提出し、その判断を支える分析も示す。 この2種類の発行および一定の適格なセカンダリー取引については、州レベルの証券登録・資格要件が原則として適用除外となる。一方、州当局は詐欺調査、通知提出手数料の徴収、違法なブローカーへの対応は継続できる。 また本提案は、1933年証券法および1934年証券取引所法における「証券」の定義から「投資契約」を除外する条項を含む。提案セーフハーバーの条件を満たす場合、暗号資産は上記定義の「投資契約」部分の適用対象外とみなされる。加えて、暗号資産規制の免除に基づく発行・販売、および一部のセカンダリー取引について、登録・資格要件に関する州法を優越させる設計としている。 ■何が変わるのか:配布の柔軟性と開示の連鎖 SEC公式サイトで示された提案の説明によれば、スタートアップ免除は個々のリテール購入上限を設けず、一般勧誘も認める。対象となる投資契約は"restricted securities"(譲渡制限付き証券)に分類されない想定で、総額500万ドルの枠内で、エアドロップ、ステーキング、ガバナンス、ガス代、テスト報酬に関連するトークン配布も可能とする。 SECは、暗号資産ネットワークがネットワーク効果を生むには、利用者・バリデーター・開発者にトークンが行き渡る必要があり、伝統的な証券の転売制限はその形成を阻害し得ると説明する。早期プロジェクトに配布面の裁量を与える一方、主な制約として、上限500万ドル、最長4年、継続的な開示を置く。 スタートアップ免除は、法人設立前であっても、個人・法人・複数メンバーのチームとして利用可能。チームメンバーはForm NORとForm TRに連署し、各メンバーがコンプライアンス責任を負う。利用できるのは、米国で設立されている、主要な経営活動が米国内にある、資産の過半が米国内にある、役員・取締役の過半が米国市民または居住者である、といった米国ビジネス要件を満たす主体に限られる。 資金調達免除では、Tier 1が監査必須要件を免除する一方、Tier 2は監査報告を条件に調達上限を引き上げる。両Tierとも、リテール投資家の購入上限10%と、継続開示が課される。 SECの試算では、施行後、年約99件のオファリングがクラウドファンディング免除を利用し、さらに31件が追加の免除を利用する見込み。スタートアップ免除やオファリング免除を使わない発行体も、セーフハーバー単独での利用は可能とされる。 ■Howeyテスト依存から、フォームとロードマップ中心へ SECは2017年の"The DAO"事案以降、トークンの提供をHoweyテストに基づき個別判断してきた。提案では、資金調達の開始時点でForm NORにより開発コミットメントを記録し、大型の発行はForm 1CRYPTOと継続報告で追跡、Form TRで投資契約からの"出口"を画する流れに置き換える。ホワイトペーパーに記載されたロードマップが、後日のセーフハーバー判断における法的根拠として重みを持つ設計だ。 セカンダリー市場もこの開示チェーンに組み込まれる。スタートアップ免除の情報更新や、資金調達免除の定期報告が継続される限り、適格なトークンの再販売は州ごとの登録審査を繰り返し受けない。期限どおりの報告が途絶えた場合、州法適用除外は停止され、十分な開示が回復して初めて再適用される。投資契約が有効な期間中、取引プラットフォームはプロジェクト側の開示・定期報告の遵守状況を継続的にモニタリングする必要がある。 SECは、投資契約セーフハーバーを単独で利用する発行体が年約475に上ると見積もる。 ■施行までの手続き:パブコメ60日、最終決定は委員会投票 ヘスター・ピアース委員は2020年にToken Safe Harborを提案し、2021年に更新して、開発チームに3年間の猶予を与える構想を示していたが、当時は個人的提案で法的拘束力はなかった。今回の提案は、資金調達免除と投資契約からの離脱条件を、単一の正式な規制プロセスに統合する初の試みと位置づけられる。 プロジェクト側にとっては、米国内での資金調達の道筋を事前に設計でき、調達額に応じて開示コストを選択できる。開発完了後は一定条件の下で、当初の投資契約を終了できる可能性がある。投資家側では、ホワイトペーパーに示されたプロダクト目標、資金使途、開発コミットメントの法的責任が強まり、マーケティング文言と正式コミットメントを切り離す余地が小さくなる。 本規則案は委員会手続きを経てパブリックコメント段階に入る。官報(Federal Register)掲載後、60日間の意見募集が開始される。文書には、調達上限、リテール購入上限、Form TRにより客観的な基準が必要か、州法適用除外、開示コストなどに関する144の質問が列挙されている。SECはフィードバックを踏まえて修正し、大幅変更の場合は意見募集を再開する可能性がある。最終文書はSEC委員会全体の投票を経なければならない。 承認後は、行政管理予算局(OMB)が議会審査法(Congressional Review Act)における"major rule"該当性を判断し、SECは議会と米会計検査院(GAO)へ提出する。議会の事前承認は不要だが、共同決議で覆すことは可能で、major ruleに該当する場合、通常は発効まで少なくとも60日を要する。 なおSECの権限は、同庁の管轄に属する証券の募集・投資契約に限られる。暗号資産の現物市場全体について、SECと商品先物取引委員会(CFTC)がどう役割分担するかは議会判断が必要とされる。州レベルの登録が外れた後の地域投資家保護の在り方や、セーフハーバーにおける"完了"基準の具体像も、意見募集での主要論点になりそうだ。