サウジ中銀、mBridge(CBDC)から離脱 実証実験終了後に参加を打ち切り

AI マーケットサマリー
サウジアラビアの中央銀行が概念実証を完了した後にmBridgeの越境CBDCプロジェクトから離脱したことは、多くのCBDCの取り組みが依然としてガバナンス、政策リスク、地政学的な精査によって制約されていることを浮き彫りにしている。この動きは、ステーブルコインのレールに代わるものとして位置づけられるマルチCBDC決済ネットワークの短期的な勢いをわずかに弱める一方で、米国の制裁関連の懸念の高まりと、中国が越境デジタル決済手段のより厳格な監視を推し進めていることを示している。
影響度
● 低い
影響を受ける資産
BTC/USDT+5.66%
AI インサイト · BTC/USDTAI インサイト
● ニュートラル
今すぐ取引
⚠️ AI によって生成されたインサイトはニュースコンテンツに基づくものであり、情報提供のみを目的としています。投資助言を構成するものではなく、BingX の見解を示すものでもありません。投資にはリスクが伴います。責任ある取引を心がけてください。
サウジアラビアの中央銀行が、中国の関与が指摘される中央銀行デジタル通貨(CBDC)の越境決済プロジェクト「mBridge」から離脱した。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、サウジアラビア通貨庁(SAMA)は2024年6月にフル参加者として参画し、実証実験(PoC)を完了したうえで2025年5月13日に関与を終了した。 FTが引用したSAMAの声明では、PoC段階の完了後に参加を終える計画だったとしている。今回の離脱は、CBDCの実験が一定の範囲にとどまりやすい現実と、越境デジタル通貨ネットワークをめぐる地政学的な監視が強まっている状況を映し出す。 要点 ・SAMAは2024年6月にmBridgeへフル参加し、2025年5月13日にPoC完了後の離脱を実施 ・mBridgeは単一のステーブルコインに依存せず、中央銀行が共有台帳上で自国のデジタル通貨を発行・決済できる設計 ・BIS主導で開発が進み、2024年10月に「最低限の製品(MVP)」到達後、参加中央銀行へ移管 ・米国の政策当局者は、mBridgeのような仕組みが制裁回避の代替決済網になり得ると懸念を表明 ・中国人民銀行の研究部門は、越境利用の拡大を踏まえステーブルコインの監視強化と国際協調の必要性を強調 PoC達成で区切り、サウジは参加終了 FTによれば、SAMAは2024年6月にmBridgeへフル参加し、2025年5月13日にPoCを終えたタイミングで参加を打ち切った。SAMAが当初からPoC完了後の終了を予定していた点が、離脱時期の背景として報じられている。 今回の判断は、技術的な失敗を直ちに意味するものではない。一方でCBDC実証の現場では、参加が試験目的やガバナンス要件、政策リスク管理の範囲に限定されるケースが多い。市場関係者にとっては、他の参加中央銀行が試験段階を超えて関与を深めるのか、同様に期間限定のサンドボックスとして位置付けるのかが焦点になる。 mBridgeの仕組み:複数の中銀通貨を一つの台帳で mBridgeは2021年、国際決済銀行(BIS)イノベーション・ハブと、中国、香港、タイ、アラブ首長国連邦(UAE)の中央銀行が協力して立ち上げた。目的は越境決済の高速化とコスト削減にある。 特徴は、単一のステーブルコインを基軸にしない点だ。参加する中央銀行が共有台帳上でそれぞれのデジタル通貨を発行し、決済や外国為替取引を行える設計となっている。主権通貨のデジタル化を相互接続する実験であり、単一の発行体に依存するトークン経済モデルとは性格が異なる。 この設計は規制面にも影響する。決済ロジックを共有インフラ上で連携しても、各デジタル通貨の発行やルールは参加国・地域の管轄当局が担うため、制度調整の複雑さが残る。 2024年10月にBISが移管、政治的な視線も mBridgeの開発はBISのもとで2024年10月まで続き、その時点でBISが「最低限の製品(MVP)」段階に達したとして、運営を参加中央銀行へ引き渡した。BISは、撤退が政治的理由によるものではないと説明してきた。BISゼネラルマネジャー(当時)のアグスティン・カルステンス氏も、こうしたプロジェクトへの関与を政治的シグナルと受け取るべきではないとの趣旨の発言をしている。 BIS主導の実験から中央銀行主体の運用へ移ることは、PoCから実装の可能性へと一歩進む局面を示す。ただし、実際の進展速度は各国の政策判断と技術的準備に左右される。 一方、mBridgeは米国でも注目を集めている。米中経済安全保障調査委員会は2024年の報告書で、mBridgeが将来的に、米国の制裁回避を図る国にとって代替の越境決済システムとなり得ると指摘した。主要金融拠点を含むデジタル決済基盤が成熟すれば、清算・決済の力学が変わり、既存の制裁体制の運用を難しくするとの問題意識が背景にある。 中国、CBDCと並行してステーブルコイン監視を強調 mBridgeの動きと並行し、中国も越境決済におけるステーブルコインへの姿勢を調整している。6月には中国人民銀行(PBOC)研究局長の王信氏が、越境決済でのステーブルコインとCBDCについて監視を強化し、国際協調を深める必要があると述べたと、Cointelegraphが報じた。 この発言は、中国当局が人民元連動のステーブルコインや、海外主体を含む現実資産のトークン化など、無許可の発行を制限してきた流れの中で出ている。中国はトークン化決済を一律に推進するというより、リスクと管轄の境界を管理しながら、将来の越境デジタル決済に備える姿勢がうかがえる。 今後の注目点 SAMAの離脱は、一定期間のPoCで区切るCBDC実験サイクルの一例にとどまる可能性がある。今後は、残る参加中央銀行が試験を超えて取り組みを拡大するか、米国の政策的な警戒や中国のステーブルコイン監視の方向性が、越境デジタル決済インフラの進路にどう影響するかが焦点となる。