Ontology、悪意ある活動を検知しメインネットのブロック生成を一時停止

分散型ID基盤で知られるパブリックブロックチェーン「Ontology(ONT/ONG)」は、ネットワークを狙った悪意ある活動をコア開発チームが確認したとして、メインネットのブロック生成を一時停止した。9月1日の更新で同プロジェクトは、ユーザー資産の侵害は確認されていないと説明。通常運用を再開する前に、セキュリティ対応とネットワークアップグレードを完了させるための予防的措置だとした。 公式サイトに掲載したセキュリティ情報によると、技術チームとバリデーターが対応作業を進める間、Ontology Mainnetは当面停止状態を維持する。再開時期は暫定的に24時間以内を目標としつつ、セキュリティチェック、修復、テスト、検証の完了が前提となる。再開可能な状態になり次第、追加の告知を出すとしている。 停止の経緯を振り返ると、Ontologyは8月31日、定期的なセキュリティチェックで潜在的な懸念が見つかったとして「緊急停止」を実施。この時点ではインシデントは未確認で、ONT、ONGを含むオンチェーン資産の損失や侵害の兆候はないと説明していた。その後9月1日の発表で、ネットワークを標的とした攻撃活動を特定したとしつつ、調査の結果、ユーザー資産の安全性には影響しないことを確認したと改めて強調した。2018年から稼働してきた同メインネットは、アップグレードと検証作業が完了するまで停止を継続し、バリデーターおよびエコシステムパートナーと連携して対応を進める。 ブロック生成が止まっている間、オンチェーン取引は処理されない。Ontologyは、再開が確認されるまで時間制約のある送金や移転を避けるよう利用者に呼びかけた。影響が大きいのはONT/ONG保有者、バリデーター、Ontology EVM上で稼働するアプリケーションだという。今回の告知を受けて資産を移動するなどの対応は不要で、資産流出への事後対応ではなく予防的なセキュリティ措置だとしている。 また、ONT IDの資格情報や、Ontologyを用いた分散型ID検証など、同ネットワークのID・レピュテーション層に依存するサービスにも影響が及ぶ。ONTOウォレットなどオフチェーンの機能は利用できる一方、オンチェーン連携はブロック生成再開まで実質的に停止する。 同プロジェクトは、修復対応の実施、ネットワーク構成要素の更新、広範なテストと検証を進めていると説明。社内調査にとどめず、再開前に第三者のセキュリティ機関とも連携して追加評価を行う方針を示した。 今回の停止は、業界で広がるネットワークレベルの予防的対応とも重なる。Cronosは8月31日、Tectonicレンディングプロトコルのエクスプロイトを受けてチェーンを停止した。Solanaのカード関連コントラクトの脆弱性が開示された事例も、セキュリティ上の発見が利用者や開発者の日常運用に直結することを示している。被害確定前に脅威を封じ込める目的でブロック生成を止める手法は、攻撃の高度化に伴いインシデント対応の選択肢として一般化しつつある。 Ontologyは今回の更新で、人工知能(AI)がより高度な脅威の出現に寄与している点にも言及した。高ボリュームのDeFiより分散型ID・レピュテーションで知られるネットワークだけに影響は現時点で限定的に見えるが、悪意ある活動の全容と再開時期は、継続中のセキュリティレビューの結果次第となる。焦点は、掲げた24時間の目標内に復旧できるか、第三者評価で追加課題が見つかり停止が長引くかに移っている。