英国で資金洗浄疑惑の人物、WLFIトークンに1億ドル投資 最大7,500万ドルがトランプ家関連会社へ
AI マーケットサマリー
WLFIの最大の開示済み購入者が英国のマネーロンダリング容疑者であるとするNYTの報道により、World Liberty Financialを巡る規制および評判面のリスクが高まっている。特に、最大7,500万ドルがトランプ家関連の事業体に送られる収益分配の仕組みを踏まえると、そのリスクは一層大きい。この報道は、WLFIのAML/PEP管理およびオフショアの資金調達チャネルに対する監視を強め、当日はトークン価格が横ばいであるにもかかわらず、コンプライアンス面の圧力と見出し主導のボラティリティを高める可能性がある。
影響度
● 普通
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米ニューヨーク・タイムズ(NYT)は8月10日、トランプ一族の暗号資産プロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」で公表ベース最大とされる1億ドル規模のガバナンストークン購入の資金提供者が、英国当局から資金洗浄の疑いで捜査を受けている実業家、郭仁舟(Guren "Bobby" Zhou)氏だと報じた。
NYTによれば、取引は2025年6月、UAE(アラブ首長国連邦)で登録されたファンド「Aqua 1」を通じて実行された。WLFIの収益分配スキームでは、トークン販売収入の最大75%に当たる最大7,500万ドルが、ドナルド・トランプ氏と3人の息子が支配する「DT Marks DEFI LLC」に流れる仕組みだという。
英国当局はNYTに対し、郭氏は2021年3月に資金洗浄の容疑で英国で逮捕されたものの、2026年7月末時点でも捜査は継続中で、正式な起訴には至っていないと説明した。郭氏は報道に応答していない。
ブロックチェーン分析企業Arkham Intelligenceの追跡によると、1億ドルの購入はオンチェーン上で2回に分けて行われた。2025年1月にWeb3Portが管理するとされるウォレットが2,000万ドル相当のWLFIを購入し、同年6月にAqua 1が管理するとみられる別ウォレットが8,000万ドル相当を購入、合計1億ドルとなった。NYTは企業記録の確認を通じて、英領ヴァージン諸島(BVI)で登録されたWeb3Port関連企業が後に「Aqua 1 GP Limited」へ改称していたこと、改称から約2週間後にAqua 1が1億ドル購入を発表したことを伝えた。Aqua 1は過去にWeb3Portとの関係を公に否定していたが、報道のどの部分が不正確かは示していない。Web3Portはトランプ氏の2025年1月の就任直後、WLFIに1,000万ドル投資したとも発表していた。
NYTはまた、この取引がWLFI共同創業者ザック・ウィトコフ氏の家族にも利益をもたらすと指摘した。ザック氏の父スティーブ・ウィトコフ氏は、トランプ政権で特使を務めているという。さらにトランプ氏の最新の資産開示では、WLF Holdco株式の売却で6,560万ドル超、WLFIトークンの配分で2億3,625万ドルを受領したことが示されていると報じた。
NYTによれば、エリック・トランプ氏はドバイで郭氏と面会し投資について協議したとされ、郭氏はその後、これを"トランプ家の暗号資産プロジェクトへの参加"と表現した。
一方で、郭氏の資金の出所は依然として不透明だという。NYTは1億ドルの最終的な資金源を確認できなかったとし、英国での過去の事業が相次いで失敗してきた経緯を追った。郭氏が運営した英国の床材小売事業は再建手続きに入り、父親の会社に約500万ドルの債務を返済しないまま終わったとされる。その後、暗号資産分野で「Caduceus」を立ち上げ、約760万ドルを調達したものの、2024年までにトークン価値はほぼ無価値に近い水準になったという。Caduceusは中国招商証券(UK)や、アブダビ王族メンバーが創設したBin Zayed Groupの支援をうたっていたが、両者はNYTに対し、主張は"無断で、重大に虚偽"だと述べた。
郭氏は2024年にロンドンからアブダビへ移り、Web3Port、続いてAqua 1と関係を持つようになり、両社がWLFIトークンの主要買い手になったとNYTは伝えた。中国の裁判所も、未返済の借入に関して総額約1,940万元(約240万ドル)の民事判決を郭氏に出しているという。
暗号資産犯罪調査会社Recoverisの最高執行責任者(COO)パトリック・プリンツ氏はNYTに対し、郭氏の経歴はWLFIが資金を受け取る前に、資金洗浄対策(AML)の書類提出を求めるべき水準の"警告サイン"に該当すると指摘した。複数の事業失敗歴、突然の巨額資金へのアクセス、取引規模、捜査継続という4点が重なると、AMLの届出が必要となる閾値に達するとしている。国際的なAMLルールではトランプ氏と家族はPEP(重要な公的地位を有する者)に分類され、金融システム上で最も厳格な精査が求められるとも述べた。
NYTによると、郭氏はドバイやアブダビの会議でトランプ家との写真を提示し、Aqua 1を"検証可能な信頼性"を持つWLFI最大の投資家と位置づけるなど、WLFI投資を信用補完のように使っていたという。
また、元NATO欧州連合軍最高司令官ウェズリー・クラーク氏はNYTに対し、郭氏側からイベント参加を打診されたため身元調査を行った後、対話を打ち切ったと説明。チームが郭氏側に"あなた方とは話さない"と伝えたとしている。
WLFIを巡っては、海外資金の流入全体も注目されている。2026年6月には民主党の上院議員5人が共和党委員長に書簡を送り、「Aryam Investment 1」によるWLFIへの5億ドル投資について公聴会開催を要請した。AryamはUAE国家安全保障顧問のシェイク・タフヌーン・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏の支援を受けるとされ、議員らはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を引用し、外国の金融利益とトランプ政権の利益相反の可能性を問題視した。
ホワイトハウス報道官のアンナ・ケリー氏は、トランプ氏に利益相反はないとの立場を改めて示した。WLFIの広報担当デビッド・ワックスマン氏は、同社が適用法令を順守し、"業界標準を満たす、または上回る"コンプライアンス体制を維持していると述べた一方、郭氏の資金源をWLFIが把握していたかどうかは明らかにしなかった。
NYT報道後、WLFIトークンは0.05295ドルで前日比横ばいだったが、24時間取引高は57%増加した。なお、郭氏の従業員2人に関する刑事事件は2028年に審理開始予定で、うち1人はすでに有罪を認めているという。