東南アジアでLedgerのハードウェアウォレットに改ざん、1億200万ドル相当が流出

AI マーケットサマリー
東南アジアの再販業者を通じて販売されたLedgerデバイスに対するサプライチェーン攻撃により、6つのネットワークにまたがる324のウォレットから推定$102Mが流出した。このインプラントはセットアップ中に24単語のシードをスキミングし、Secure ElementとGenuine Checkを迂回する。犠牲になったのは、ブロックチェーンの安全性ではなく、セルフカストディ用ハードウェアへの信頼である。短期的には、ハードウェアウォレットベンダーへの圧力、再販業者への厳しい監視、新たに生成されたシードへのユーザー移行の増加が予想される。
影響度
● 普通
影響を受ける資産
BTC/USDT-0.38%
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▼ 弱気
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東南アジアの顧客が10月初旬、正常に作動しているように見えたLedgerのハードウェアウォレットから暗号資産が消えていることに気づいた。顧客はマレーシア、インドネシア、フィリピンで事業を展開する正規販売代理店CryptoBilisを通じて端末を購入していた。Ledgerは10月10日、影響を受けた顧客の1台に不正な追加基板が組み込まれていたことを確認した。3日後、同社のセキュリティチームは、追加された電子回路が初期設定時にウォレットの24語のリカバリーフレーズを複製し、携帯回線を通じて送信していたと説明した。保護チップ、オペレーティングシステム、取引署名は改変されていなかった。 Bitqueryの推計では、攻撃者は6つのネットワーク上の324のウォレットから1億200万ドルを窃取した。ただしLedgerはこの総額を確認しておらず、すべての損失が追加基板を組み込まれた端末によるものだと断定してもいない。 ハードウェアウォレットは、取引を承認するための秘密鍵を保護する。暗号資産そのものはブロックチェーン上に存在する。ウォレットは、接続されたコンピューターに秘密鍵を渡すことなく、承認済みの取引に署名する。初期設定時、Ledgerウォレットは24語のリカバリーフレーズを表示する。端末を紛失した場合、このフレーズでウォレットと鍵を復元できる。利用者はフレーズを書き留め、オフラインで保管し、決して他人に教えないよう指示されている。フレーズを手にした者は、元のウォレットのPINに妨げられることなく、別の端末で同じアカウントを復元できる。 Ledgerによると、小型のコントローラーがディスプレイに送られる情報を傍受し、リカバリーフレーズを再構成して、組み込みSIMカードによるLTE回線で送信していた。この追加基板は、保護チップを侵害する必要も、偽サイトにフレーズを入力させる必要もなかった。利用者は初期設定を終えて正規の取引を承認できる一方、攻撃者は資金への同等のアクセス権を保持し続けた。任意の追加パスフレーズはそれを使って作成したアカウントを保護できるが、通常のアカウントではリカバリーフレーズだけで十分だ。 Ledgerの「Genuine Check」は、機密性の高いセキュリティ処理を担うチップ「Secure Element」が真正かどうかを検証する。偽チップの識別はできても、すべての部品を検査したり、製造後に何も追加されていないことを証明したりはできない。同社のセキュリティ文書は、元のチップが無傷であれば物理的な改変が発見を逃れる可能性があると警告している。 Tibane Labsは、セキュアチップと画面の間の信号を監視する電子回路を組み込んだ改造済みのLedger Nano Xを調査した。より巧妙な個体ではディスプレイの下に専用基板が隠され、元のバッテリーが残っていたため、外観の確認では改変に気づけなかった。これらの個体はCryptoBilisの調査とは別のもので、同一の端末や攻撃者が関与したことを示すものではない。 真正なチップ、正しい署名、正常な動作は、端末全体が改ざんされていないことの証明にはならない。Ledgerは正規販売店での購入を勧めており、CryptoBilisの事例は単なる偽造品ではなく、流通チェーン全体の信頼を問う問題であることを示している。 Ledgerは10月15日の更新で、攻撃者が数カ月にわたり正規品を購入し、端末を開けて独自部品を取り付け、東南アジアの販売店を通じて流通に戻したと説明した。同社はこの事案を流通チャネルへの攻撃と位置付けている。倉庫や店舗で確認したサンプルに改ざんはなかったという。同社は東南アジアと香港の正規販売店・代理店に販売停止を要請した。返品品の管理を強化し、販売店には端末を陳列棚に置かないよう求めている。ドイツのMediaMarktSaturnは改ざん端末の報告を受けてLedger製品の販売を停止した。Trezorは自社製品への侵害を示す証拠は見つからなかったものの、競合ウォレットメーカーの販売店網の縮小に動いた。 Bitqueryは、25のTronウォレットが3秒以内に同じ承認署名を行ったことを確認した。複数のアカウントをすでに掌握している者の行動と整合するパターンだ。誰が梱包を開け、部品を取り付け、端末を店に戻したのかをブロックチェーンの記録から特定することはできない。ハードウェアの検査と流通記録が必要になる。 新しい機器を購入して古い24語のリカバリーフレーズを入力しても、古いフレーズが同じ鍵を復元するためリスクは変わらない。資産は、信頼できる端末で新たに生成したリカバリーフレーズによるアカウントへ、アドレスと手順を慎重に確認したうえで移す必要がある。LedgerはCryptoBilisの購入者に対し、未使用の端末を初期化しないよう伝え、すでに初期設定を済ませた顧客には新たなフレーズの新しい署名者へ資金を移すよう助言した。影響を受けた所有者は公式サポート窓口を利用し、関連しうる証拠を保全し、資金回収をうたう相手にリカバリーフレーズを決して渡さないことが重要だ。 この事案は、ハードウェアウォレットの安全性が、リカバリーフレーズが最初に表示される瞬間まで、画面、筐体、梱包、流通チェーン全体に及ぶことを示している。自己管理なら秘密鍵を取引所に預ける信頼は不要になるが、鍵を生成し表示するハードウェアをなお信頼しなければならない。