米IRS、暗号資産ETFの課税扱いに注意喚起 富裕層向け"非課税"株式スワップも封じる

AI マーケットサマリー
米国国税庁(IRS)は、現物による償還(in-kind redemptions)やその他の仕組みを用いて課税対象の利益の認識を繰り延べ、または回避する暗号資産関連ETFにフラグを立て、いかなるガイダンスも遡及適用され得ると警告した。並行して、セクション351に基づく"非課税"の株式からETFへのスワップを終了し、ETFの主要な税制メカニズムを引き締めた。これにより、暗号資産エクスポージャーを有する特定のファンドに対する規制および税制の不確実性が高まり、ETFの組成、資金フロー、ならびに税引後リターンの前提に影響を及ぼす可能性がある。
影響度
● 高い
影響を受ける資産
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米内国歳入庁(IRS)は月曜日、暗号資産ETF(上場投資信託)を巡る課税上の取り扱いについてNotice(通知)を公表し、デジタル資産を保有する一部ファンドが利益計上を回避し得る取引に目を光らせる姿勢を示した。同日、富裕層投資家が利用してきた"非課税"の株式交換スキームもRevenue Ruling 202620(歳入裁定)で否定。いずれもETFの税制上の枠組みに関わる同じルールを狙い撃ちした格好だ。 ■暗号資産ETFで問題視された"利益を帳簿に載せない"仕組み 米国の多くの投資信託は、一定要件を満たすことでファンド段階の課税が免除される特別な税務上の地位を得ている。具体的には、配当、利息、株式売買益などからの収入が少なくとも90%を占める必要がある。一方、暗号資産やコモディティに由来する利益はこの要件に算入されないため、そうした収入が増え過ぎると税優遇の維持が難しくなる。 IRSによれば、一部のETFはこれを回避する方法を見いだしているという。値上がりしたデジタル資産をウォール街の取引業者(ファンドの持分を償還するトレーディング会社)に引き渡し、ETFの"現物償還(in-kind redemptions)"を用いて、課税対象となる売却益をファンド側で認識しない形にしている。ETFには、こうした現物の受け渡しを行っても原則として課税所得を計上しないで済む仕組みがあるため、帳簿上の利益が立たず、要件上の"好ましくない収入"が増えない。 今回のNoticeは、この構造がファンドが資産を直接保有する場合だけでなく、トラストを通じて保有している場合にも成り立ち得る点を明記した。 ■どの暗号資産ファンドが影響を受けるのか Noticeは特定のファンド名を挙げていない。現物型ビットコインETFの一部は、設計上の違いから影響が限定的となる可能性がある。例えばブラックロックのビットコインETFについて、SEC提出書類によると、iShares Bitcoin Trustはグランター・トラスト(grantor trust)として、税務上の属性が投資家にパススルーされる構造だ。 一方で、暗号資産そのものを保有する通常のファンド、あるいは暗号資産トラストの持分を組み入れるファンドは影響を受け得る。海外子会社(オフショア子会社)を介してこれらの資産を保有するファンドは、今回のNoticeの対象外とされる。 またIRSは、今後示される対応策が将来適用にとどまらず、過去の取引に遡及適用される可能性にも言及した。"当該ガイダンスは、将来のみに適用される場合もあれば、既に行われた取引に遡って適用される場合もある"としている。意見募集の期限は10月28日。 ■IRS、富裕層向け"非課税"株式交換も否定 同日に出されたRevenue Ruling 202620は、いわゆるSection 351 conversion(内国歳入法351条を使った転換)を封じる内容となった。この手法は、値上がりした個別株を分散型のファンドに差し入れ、非課税で持分に置き換えることを可能にしていたとされる。 ETFの専門家エリック・バルチュナス氏は、"法の趣旨から外れるものを取り締まっているだけのように聞こえる"とコメントしている。 問題視された取引の典型例では、投資家が新設のETFに株式を拠出し、その後ファンドが当該株式を取引業者に移転する。IRSはこれを実質的な売却とみなし、課税対象の譲渡として扱うとした。 会計士で"Current Federal Tax Developments"を執筆するエド・ゾラーズ氏は、アドバイザーに対し、過去に顧客が行った転換取引の精査を呼びかけた。 米国の主要な投資信託業界団体であるインベストメント・カンパニー・インスティテュート(ICI)は、法律事務所Liskowによれば、こうした転換が分散投資の実現や手数料の引き下げに資するとの立場から、財務省に見解を伝えているという。