HSBC、PayMeで規制準拠の香港ドル建てステーブルコイン「RedCoin」を開始―330万人ユーザーと10万加盟店に対応
CoinMarketCapの報道によると、HSBCは香港で初の規制準拠ステーブルコインを開始し、デジタル通貨決済をPayMeに統合した。PayMeの利用者は330万人超、取引可能な加盟店は10万店超。香港ドル建てトークン「HSBC RedCoin(RCHKD)」は10月23日に正式ローンチした。同行の発表では、利用者は今後数日以内にPayMe内でステーブルコインウォレットを有効化できる。なお、330万人はPayMeの既存ユーザー総数であり、RedCoinウォレットを有効化した人数ではない。
RedCoinは香港金融管理局(HKMA)のステーブルコイン条例に基づき認可・規制される。同条例は法定通貨担保型デジタル資産の専用枠組みを定める。HSBCは4月、香港で最初のステーブルコインライセンスの一つを取得。同時期の他の取得者にはAnchorpoint Financialや、Standard Chartered Bank、Hong Kong Telecom、Animoca Brandsが参加するコンソーシアムが含まれる。10月のローンチにより、規制承認は実際に稼働するリテール決済商品へと移行した。
PayMe利用者はアプリ内で友人や家族にRedCoinを送金し、参加加盟店へ支払える。ステーブルコインは香港ドルと1対1の価値を維持する設計で、分別管理された準備資産で裏付けられる。カストディ基盤はHSBC Digital Assets Custodyが提供し、同行がコンプライアンスと取引管理を引き続き担う。従来の暗号資産ウォレットでは利用者がブロックチェーンアドレスを自ら管理し、別プラットフォーム間で資産を移す必要があるが、この方式はそれと異なる。金融企業が消費者に馴染みのあるアプリにデジタル通貨を組み込む流れも反映している。
HSBCのステーブルコイン戦略は決済にとどまらない。同行は香港のモバイルバンキングアプリを通じ、RedCoinをトークン化投資の用途へ広げる計画。現在は機関投資家向けトークン化基盤「HSBC Orion」を通じ、金(ゴールド)トークンやホールセール向けトークン化預金サービスを提供する。香港のトークン化ファンド事業への参加は、金融機関がブロックチェーン基盤の決済と規制下の投資商品を結び付けようとしていることを示す。今月初めにはSoFiが銀行発行型ステーブルコインモデルを拡大。既存金融機関がデジタル通貨を既存決済サービスに統合する例だ。
銀行発行型ステーブルコインはUSDTやUSDCに挑めるか。RedCoinはTetherのUSDTやCircleのUSDCを含むドル建て資産が支配する世界市場に参入する。初期の強みは実証済みの取引需要ではなく、流通チャネルにある。HSBCにはすでに数百万人の潜在顧客と確立した加盟店網がある。この戦略は、ステーブルコインを既存決済インフラに統合するVisaとMastercardの方向性と一致する。HSBCは、何人のPayMe利用者がRedCoinウォレットを有効化するか、今回のローンチがどれほどの取引量を生むかは開示していない。
執筆:Emir Abyazov