Coldcardのファーム不具合で被害拡大、損失は最大1.11億ドル規模に
AI マーケットサマリー
CoinkiteのColdcard(v4.0.1)で開示されたファームウェアのRNG欠陥により、攻撃者が低エントロピーのシードを総当たりで突破し、約1,596〜1,719 BTC(1億ドル超)を流出させることが可能になった。複数の協調した窃取の波と、数千の影響を受けたアドレスを示す証拠がある。これはビットコインのプロトコル問題ではないものの、自己保管への信頼を損ない、短期的なリスクオフ行動、ウォレット移行の加速、ならびにハードウェアウォレットのサプライチェーンとファームウェア運用慣行に対する監視強化を促し得る。
影響度
● 普通
影響を受ける資産
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▼ 弱気
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ハードウェアウォレットは"秘密鍵をオフラインで守ればビットコインは安全"という前提で普及してきた。その前提が大きく揺らいでいる。Coinkiteが製造するColdcardハードウェアウォレットでファームウェアの脆弱性が悪用され、数千のアドレスから約1,596〜1,719BTCが流出した。損失は推定1億〜1.11億ドル。Galaxy Digitalのオンチェーン分析チームのAlex Thorn氏が、オンチェーン・フォレンジックでこの集計を確認した。
被害の深刻さを際立たせるのは、利用者側に典型的な落ち度が見当たらない点だ。フィッシング被害や鍵の漏えい、操作ミスではなく、問題はファームウェアそのものにあった。
■発端は2021年の単一リリース
脆弱性は、2021年3月17日に配布されたColdcard v4.0.1に遡る。このリリースで乱数生成器にバグが入り、ウォレットのシード生成時のエントロピーが想定より大幅に低下した。影響を受けたシードの一部はエントロピーがおよそ40ビット程度にまで落ちていたとされる。
通常、適切に生成されたビットコインのシードは計算上推測不可能であるはずだが、今回のケースではオープンソースの総当たりツールで再現が可能になり、攻撃者が該当ウォレットを復元して資金を抜き取った。
この欠陥は5年以上見過ごされ、Coinkiteは2026年7月30日に脆弱性を公表。翌日に修正版ファームウェアを提供した。ただし更新しても失った資金は戻らず、脆弱なファームウェアで生成済みのシード自体も安全にはならない。影響ユーザーは、更新後の環境で新しいシードを作り直し、新アドレスへ全資金を移す必要がある。
Galaxyの分析では、少なくとも3回の窃取"波"が確認され、標的は合計約7,300アドレス。攻撃者は少なくとも15者にのぼる。8月3日ごろに第4波の可能性が指摘され、この追加分として約389BTCが上乗せされたという。8月7日時点の確認済み流出は1,719BTCに達し、未確定の動きも含めると総損失が1.3億ドル超に拡大する可能性を示す報告もある。
■オンチェーンで見える異例の動き
Galaxyが注目した点の一つは、流出資金の大半がオンチェーン上で"未消費"のまま残っていることだ。攻撃者はビットコインを移動させているものの、一般的なロンダリングで見られるような換金・分散のパターンは少なく、少なくとも現時点では目立っていない。
また、窃取が複数の波として発生していることから、単発の偶発的発見ではなく、組織的な悪用が示唆される。攻撃者が15者以上いる点も、脆弱性情報が公表前に共有・流通していた、あるいは売買されていた可能性をうかがわせる。
■セルフカストディとハードウェア安全性への示唆
Coldcardは高いセキュリティ志向で評価を築き、取引所保管ではなくセルフカストディを選ぶ技術志向の保有者に支持されてきた。皮肉にも、鍵の管理を徹底する層が、信頼していたツールの欠陥でリスクにさらされた格好だ。
Coldcardでv4.0.1以降のファームウェアを利用しているユーザーは、ファームウェア更新と新規シード生成、資金移転を急ぐ必要がある。先送りは追加の流出リスクを高める。8月3日に第4波の可能性が示されたことで、未流出の影響アドレスが依然として狙われ得る状況が続いている。