米法執行機関が暗号資産監督の"CLARITY法"を支持、DeFiの責任明確化など修正提案も

AI マーケットサマリー
米国の主要な法執行機関の団体(FLEOA)がCLARITY法を支持し、8月8日の上院休会を前に、より明確な連邦レベルの暗号資産市場構造に向けた勢いを強めた。同法案を支持する一方で、FLEOAはより厳格なDeFiの説明責任基準と、捜査権限の明示的な維持を求め、交渉が全面的な反対ではなく文言レベルの変更へと移行していることを示唆した。この動きは政策不確実性リスクを低下させる一方で、DeFiのコンプライアンスに対する監視の厳しさは高いままとなっている。
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暗号資産の規制枠組みを整備する「Digital Asset Market Clarity Act(CLARITY Act)」が、米国の主要な法執行関係団体から新たな支持を得た。米連邦法執行官協会(FLEOA)は7月10日、上院銀行委員会に宛てた書簡を提出し、法案への賛同を表明した。あわせて、分散型金融(DeFi)における説明責任の強化や、捜査権限の維持を明確にするためのピンポイントの修正を求めた。 今回の支持は、法案が「政府の暗号資産関連犯罪の摘発能力を弱める」との批判を受ける中での動きとなる。業界関係者が重要な節目とみる上院の8月8日休会を4週間足らずで迎えるタイミングでもあり、審議加速への追い風となる可能性がある。 FLEOAは声明で、現行のCLARITY Actがデジタル資産のイノベーションと公共の安全の両立に向け「意味のある前進」だと評価。デジタル資産に関するより明確な規制枠組みを提示しつつ、マネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策、制裁執行、違法行為の捜査に用いられる権限など、刑事法執行とコンプライアンス確保に必要な権限を維持すると位置づけた。 暗号資産業界団体Crypto CouncilのCEOであるJi Kim氏も、FLEOAの支持は消費者保護と法執行の観点で法案の強みを裏づけるものだとして意義を強調した。 一方で、FLEOAは支持と同時に、DeFi関連条項の手当てを求めた。分散型システム内で誰がどの範囲で責任を負うのかを明確化し、説明責任の所在が曖昧になりやすい構造に歯止めをかけるべきだと主張。実態が伴わないまま"分散型"を名乗ることで規制義務を回避しようとする余地を縮小する修正も提案した。 さらに、責任追及の要件に関わる「specific intent(特定の意図)」の文言について、必要な場合に責任を立証しやすい表現へ見直すよう要請。加えて、提案法が既存の連邦捜査権限を制限しないことを明示する条文上の確認を求めた。法的予見可能性を高める狙いと、捜査当局の権限維持のバランスをどう取るかが焦点になっている。 この論点は、開発者の責任を巡る議論とも重なる。Cointelegraphの報道によれば、CLARITY Actは分散型プラットフォーム上でユーザーが行った違法行為について、開発者の責任を限定することを目的とした第604条(Section 604)をめぐり、捜査を妨げかねない過度に広い免責につながるとの異論が出ていた。 6月には、全米地方検事協会(National District Attorneys Association)、全米連邦検事補協会(National Association of Assistant United States Attorneys)、国際警察本部長協会(International Association of Chiefs of Police)、全米保安官協会(National Sheriffs' Association)など4団体がホワイトハウスに懸念を伝達。これを受けてホワイトハウスは6月下旬に当該団体を会合に招いたとされ、その後、法執行コミュニティ内でも姿勢の変化がみられた。7月には、当初反対していたMajor County Sheriffs of Americaが中立へ転じたとも報じられている。 FLEOAの今回の立場は、法案の大枠は支持しつつ、DeFiで責任がぼやける領域や、開発者・プラットフォームの説明責任、捜査権限の確保といった"穴"を条文レベルで埋める修正を求めるものだ。 上院日程が迫る中、交渉の焦点は「賛否」から「文言調整」へ移りつつあるとの見方も出る。8月8日の休会は成立可能性を左右する節目とされ、シンシア・ルミス上院議員は7月8日、2030年までにデジタル資産の"本格的な立法"を整える最後の現実的な機会に近づいていると発言。CLARITY Actが成立しなければ他国・地域がルール形成を主導し、米国は今後10年で追随を迫られかねないと警鐘を鳴らした。 市場の注目点は、上院銀行委員会および立法プロセスが、(1)DeFiの説明責任、(2)責任追及の基準、(3)連邦捜査権限を制限しない明確な担保、(4)"分散型"の看板を規制回避の盾に使わせない設計、といった提案をどこまで取り込めるかに移る。休会前の短い時間で、法執行側の支持をつなぎとめつつ、CLARITY Actが目指す規制の明確化を実現できるかが次の山場となる。