Cosmos Hub、盗難ATOM約123万枚を緊急確保 返還はガバナンス可決待ち
AI マーケットサマリー
Cosmos Hubのバリデーターはチェーンを停止し、Neutronのガバナンスエクスプロイトにより約173万ATOMがHubにルーティングされた後、1,227,121.37 ATOMの盗難分を回収用マルチシグに移すための緊急パッチを導入した。しかし、6人のマルチシグ署名者は、Hub側で別途ガバナンスの命令があり、かつNeutron主導の証拠提示/配分計画がない限り、資金を放出しない。短期的なリスクは、ガバナンス/プロセスの不確実性と不完全な回収に集中しており、追加のATOMはすでにTHORChain経由でマネーロンダリングされている。
影響度
● 普通
影響を受ける資産
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9月22日にNeutronで発生したガバナンス攻撃を受け、攻撃者は盗難資産の一部をCosmos Hubへ移し、約173万ATOMが流入した。Cosmos Hubのバリデーターは緊急パッチでこのうち1,227,121.37 ATOMを差し押さえる形で確保したが、資金を保管するマルチシグの署名者6者は、被害者やプロトコルへの送金には別途Hubのガバナンス提案が可決される必要があるとの立場を示している。
Cosmos Labsによる9月25日の説明では、バリデーターがさらなる流出を防ぐために行った緊急対応と、最終的に誰へ返還するかの意思決定は切り分けられる。9月26日15:40 UTC時点のHub残高照会では、回収用アドレスに1,227,121.374688 ATOMが保管されていた。トークンは拘束下にある一方、Cosmos Labsは、Neutronの対応チームが返還に必要な証拠と分配計画の整備を進めている段階だとしている。
攻撃の発端は9月22日、Neutron上で可決されたガバナンス提案により、Astroportなど複数プロトコルで使われるコントラクトの管理権限が攻撃者に渡ったことだとHub運営側は説明する。攻撃者は盗難資産の一部を他ネットワークへ移し、約173万ATOMがCosmos Hubへ送られた。Hub自体が侵害されたわけではなく、盗難残高の一部を途中で差し止められる地点になったという。
バリデーターは、攻撃者がATOMをスワップやブリッジで移動させる中、ブロック高33,086,740でチェーンを停止。その後、Gaiaソフトウェアv28.3.0へ更新して再起動することで合意した。停止明け最初のブロック高で、パッチが一度だけ状態を変更し、攻撃者に紐づくHubアドレスから回収用マルチシグへ1,227,121.37 ATOMを移転させたうえで、通常取引を再開した。9月24日のHub更新によれば、このバイナリは当該の単一ソースアカウントに限定して適用され、他ユーザーの残高やデリゲーションは変更していない。
この手続きは、補償をオンチェーン投票で承認したものではなく、バリデーターによる協調アップデートとして実施された。Cosmos Labsは、バイナリの構築・配布前に、送金元・送金先アドレス、署名者6者の一覧、適用範囲案が文書で共有されたとしている。Hubの投票権の67%超を代表するバリデーターが導入を確認したうえで、9月23日に再起動。ブロックは12:00 UTCに再開し、移転は12:06 UTC頃に反映された。
運営側は、バイナリはメインネット状態のフォークでテストし、チェックサム付きで配布したと説明。差分(diff)の公開は当時見送られた。理由として、基盤となるv28.2.0のセキュリティ修正が協調開示のエンバーゴ下にあり、公開すると修正内容が露呈するためだという。Cosmos Labsは、エンバーゴ解除後にdiffを公開する見通しを示したが、これは9月25日時点の開示スケジュールであり、その後の公開を断定するものではないとしている。
一方、確保した資金の保管は、返還先の確定を意味しない。マルチシグの署名者として名指しされたのはNansen、Keplr、Enigma、Silknodes、Kiln、Polkachuの6バリデーターで、技術的には4署名で送金が可能だ。ただし署名者は、資金を動かすにはCosmos Hubのシグナリング提案が可決され、正当な移転として承認されることが条件だと表明している。Cosmos Labsは、このウォレットの鍵を保有していない。
結果として、コントロールは二層構造になっている。第一に、バリデーターの超過半数がチェーン停止中の状態変更に合意し、Hub上に到達していた残高を攻撃者が動かせないようにした。第二に、現在は署名者が盗難ATOMを保管しているが、返還先は公開のガバナンスによる委任が出るまで決めないという。緊急パッチは、正当な請求者の特定や分配スケジュールの承認まで行っていない。
返還のルートはNeutron側の整理から始まる。Cosmos Labsによれば、Neutronは9月25日までに対策を施して再稼働し、AstroportやDropなど影響を受けたプロトコルや貢献者が、何が奪われ、回収資産をどこへ返すべきかを示す証拠を準備していた。対応チームは翌週にもHub提案を提出する見込みとされた。Neutron側でもガバナンス投票を行うかは同ネットワーク次第だという。
9月26日15:40 UTC時点で確認されたHubの提案一覧には、回収用マルチシグの資金移転を明確に承認する可決済みのマンデートは見当たらなかった。最新の提案1057はRealioのIBCライトクライアント回復に関するもの。提案1056("ATOM Refund & Justice Bounty")は投票中で、別の返金・バウンティを扱っており、Neutron対応チームがこのマルチシグから分配することを承認する内容ではない。したがって、ガバナンス要件は当時まだ将来条件にとどまっていた。
今回のHubでの移転は、停止時点で単一の攻撃者関連アドレスにあったATOMを対象にしたもので、Neutronでの攻撃全体を巻き戻すものではない。Cosmos Labsは、停止前に約50万ATOMがすでにTHORChain経由でスワップされていたとし、他の盗難資産もHubの外のネットワークへ到達したとしている。各被害アカウントの最終的な請求額や、全額補償を約束する内容は示されていない。
また、パッチには時間的な限界もあった。別途168,990.9 ATOMがその例で、THORChainの返金が再起動直後に攻撃者アドレスへ着金したが、一度限りの移転がすでに実行された後だったため、同じルールでは回収できなかった。Cosmos Labsによれば、返金が届く可能性は認識していたものの、それを取り込むようにテスト済みバイナリを変更するには別のコードとより長い停止が必要だったという。返金分のATOMはOsmosisへ移され売却された。
今後は、Neutron側の復旧計画として、誰にいくらの権利があるのか、資金をどこへ送るべきかを確定させる必要がある。その計画に基づくHub提案が可決されれば、6署名者が求める公開の委任が整い、返還手続きに進む。手順が完了するまで、確保されたATOMは回収可能な状態で保管される一方、受取先は未確定のままとなる。