米国の暗号資産規制枠組み、CLARITY法案が上院で頓挫し不透明感が継続
AI マーケットサマリー
米上院がCLARITY法の審議を前進させられなかったことで、市場にはSEC/CFTCのスポット市場に関する明確な枠組みが欠けたままとなり、規制の分断と取引所およびトークン発行体にとってのコンプライアンス不確実性が維持されています。SECとCFTCの連携や進行中のルール策定により一部の曖昧さは軽減される可能性があるものの、新たな法的権限が付与されないことで、執行および管轄リスクが継続します。短期的なセンチメントは、政策関連見出しのボラティリティ上昇により圧迫されています。
影響度
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暗号資産市場で長年の論点となってきた「どの規制当局が何を所管するのか」を整理する狙いだったCLARITY法案は、9月15日に上院で審議前進に必要な60票の賛成を確保できず、事実上棚上げとなった。これにより、同法案が目指していた包括的な市場構造(マーケットストラクチャー)枠組みは、米国では依然として整備されないままとなる。
もっとも、暗号資産が突然無規制になったわけではない。採決前からSEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)はデジタル資産を巡り連携を進めており、3月には、商品定義の明確化、取引ルールの近代化、より調整の取れた暗号資産規制枠組みの構築を目的とするSEC'CFTC間の正式な覚書(MOU)を締結している。ただし、監督権限は引き続き複数当局に分散している。
最大の線引きはSECとCFTCの所管の違いだ。SECは、暗号資産やトークン発行、取引が証券法の対象に該当する場合、連邦証券法の適用を担う。今年に入りSECは、ステーキング、マイニング、エアドロップ、非証券の暗号資産がどの段階で投資契約の一部となり得るかなどを含む新たなガイダンスを公表した。CFTCもこの解釈に同調し、商品取引所法(Commodity Exchange Act)を同趣旨で運用するとしている。
一方、CFTCはすでに暗号資産の先物、オプションなどデリバティブを監督しているが、現物市場に対する権限は限定的だ。ビットコインのような非証券コモディティについては詐欺や相場操縦の摘発は可能なものの、議会はデリバティブ市場と同等の包括的な登録制度を現物暗号資産取引所に対してCFTCに付与していない。この管轄の空白を埋めることが、CLARITY法案の中心的な目的だった。
今後の焦点は、議会立法を待たずに規制当局が動き始めている点に移っている。CFTCは暗号資産市場に関する新たな規則案をホワイトハウスの規制審査に付した。CLARITY法案が成立しなくても既存権限の範囲内で手当てを進める姿勢を示した形で、実際の適用範囲が注目される。規制当局は、議会から与えられていない権限を規則で新設することはできないためだ。
ステーブルコインは事情が異なる。議会がすでにGENIUS法を成立させ、決済用ステーブルコインに関する独立した連邦枠組みを整備している。また、暗号資産関連事業者は、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)のマネーロンダリング対策義務、銀行当局による監督、州レベルのライセンス要件など、複数の規制に引き続き直面する可能性がある。