Circle、OCCの条件付き認可を取得 "全米デジタル通貨銀行"設立へ
AI マーケットサマリー
Circleが、連邦監督下でUSDC準備金を管理するための新設(de novo)ナショナル・トラスト銀行を設立することについて条件付きでOCCの承認を得たことは、ステーブルコインのガバナンスとカストディの信頼性を実質的に強化する。これは、米国で新たに形成されつつあるステーブルコイン監督(例:GENIUS Act)と整合しており、他の暗号資産企業に対する同様のOCCの措置と並行して行われたもので、規制の常態化を示唆している。これにより、ステーブルコインに依存するオンチェーンの流動性および担保ワークフローに対する機関投資家のリスク許容度が改善する可能性がある。
影響度
● 高い
影響を受ける資産
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米ドル建てステーブルコイン「USDC」を手がけるCircleは、米通貨監督庁(OCC)から「First National Digital Currency Bank, N.A.(全米デジタル通貨銀行)」設立に向けた条件付き認可を得た。OCCは2025年12月12日付で銀行チャーターを付与。世界第2位のステーブルコインであるUSDCの裏付け資産(約620億ドル)を、連邦レベルの規制下で管理する枠組みが整う。
新銀行はチャーター番号「#25361」。ニューヨークを本拠とするデノボ(新設)のナショナル・トラスト・バンクとして位置付けられる。一般の預金口座を扱うフルサービス銀行ではなく、信託・受託(フィデューシャリー)機能に特化した設計だ。
First National Digital Currency Bankは、Circleの米国発行体に対し、USDC準備金を受託者責任の下で管理する。加えて、担保受託者(collateral trustee)としての役割や、Circleの関連会社向けデジタル資産カストディサービスも提供する。一方で、預金受け入れやFDIC保険の対象となる業務は認められていない。
Circleは2025年6月30日に申請を提出しており、申請から条件付き認可まで約5カ月半というスピードは、暗号資産分野では例外的といえる。なお同社は、USDCの発行業務を担う別の「限定目的信託会社」をニューヨーク州で新設する方針も示している。発行体と準備金管理主体を分離し、組織構造を明確化する狙いだ。
12月12日のOCCは動きが相次いだ。Circleへの認可に加え、Rippleにもナショナル・トラスト・バンクのチャーターを付与し、「Ripple National Trust Bank」の設立を認めた。さらにPaxos、BitGo、Fidelity Digital Assetsについては、州チャーターからの転換申請を受理した。
一連のタイミングは、ステーブルコインの監督枠組み強化を志向する「GENIUS Act」とも重なる。Circleのケースは、受託者責任を明確にした連邦規制下の主体が準備金を管理するという同法の方向性に沿うものといえる。
一方、業界団体からの反発もあった。Independent Community Bankers of America(ICBA)とNational Consumer Law Center(NCLC)はCircleの申請に反対意見を提出。暗号資産企業が銀行チャーターを得ることで、預金業務に伴う全面的な規制負担を負わずに連邦の銀行インフラへアクセスでき、競争条件が歪むとの懸念が根強い。
市場への含意は大きい。Circleは2013年創業で、USDCは暗号資産市場の基盤インフラとして定着している。準備金を連邦チャーターの信託銀行が管理する体制は、USDCに関与する参加者全体のリスク認識を変え得る。最大手ステーブルコイン「USDT」の発行体Tetherは、同等の米連邦チャーターの下で運営していない。
機関投資家がステーブルコイン選好を検討する際、利回りや流動性に加え、コンプライアンス体制を重視する傾向が強まるなか、Circleの規制上の位置付けは差別化要因になり得る。また、関連会社向けにデジタル資産カストディを提供できる点は、トークン化国債、オンチェーン担保管理、規制カストディアンを前提とするストラクチャード商品など、より高度な機関投資家向けプロダクトの拡大余地を示す。