日銀、ETF売却ペースを2.6倍に加速へ 完了まで43年と試算
AI マーケットサマリー
日銀は2027年1月からETFの売却を加速するが、そのペースは東証プライムの売買代金の約0.1%と緩やかなものにとどまり、政策金利は1.25%近辺に据え置かれる。短期的な日本株の供給は限定的で、当局は市場の大きな混乱は見込んでいない。この動きは政策正常化の継続を示すものの、日経平均や円資産への即時の影響は軽微だ。
影響度
● 低い
影響を受ける資産
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● ニュートラル
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日銀は10月30日、ETFの売却ペースを約2.6倍に加速する方針を決めた。2027年1月から適用する。年間売却額は簿価ベースで3300億円から約8600億円へ増え、伸び率は約161%となる。9月末時点の保有分をそれぞれの一定ペースで売却した場合、完了までの期間は112年から43年に短縮する試算だ。これは算術上の推計であり、売却完了時期の予想ではない。同日、オーバーナイト金利の誘導目標は1.25%程度に据え置いた。
簿価はポートフォリオから除く会計上の金額で、買い手から得る現金とは異なる。日銀は1~9月のETF売却における時価と簿価の関係から、年間売却額が市場価格で約2.46兆円相当になると推計する。市場価格が動けば、簿価ベースの売却目標を変えずに相当額は変わり得る。東証プライム市場の1~9月の売買代金に対しては約1000分の1の規模になる見込みだ。
日銀当局者は、1月以降の売却が大きな市場影響なく順調に進んだと説明した。市場全体の売買活発化も売却加速の判断材料になった。売却ルールは、損失や市場の混乱を極力抑えながら許容できる価格を探ることを目的とする。市場環境次第で売却の変更や停止もできる。
売却加速は株式リスクを民間の買い手へ早く移す半面、買い手が毎年引き受けるリスクを増やす。売却が遅ければ日銀が株式リスクを抱える期間が長引き、残る保有分と売却判断は将来の当局者に委ねられる。43年という試算は、市場が保有分の吸収に40年を要することを示すものではない。
日銀は2010年、需要不足とデフレ下で投資を促すため、金融緩和策に株式ファンドを追加した。ETFは個別企業を選ばずに企業株のバスケットへの投資機会を提供する。リスク資産に投資家が求める上乗せリターンを下げ、短期金利がゼロ近辺にある中で金融情勢を緩和する狙いがあった。当時の白川方明総裁は2010年11月、損失の可能性や企業・産業間の資源配分への影響に言及した。日銀は2024年3月にETF購入を停止し、保有分はバランスシートに残した。売却は2026年1月に始まった。
普通株ETFには元本償還期限がないため、購入を止めても売却なしにポートフォリオは消滅しない。ETFの単位は原資産の全株を直ちに売却せずに所有者が変わり得るが、日銀には将来の損益を引き受ける買い手が必要だ。
円調達は長く、大型のビットコイン購入をキャリートレードで支えてきた。円を借りて為替ヘッジなしのドル建て資産に投資する場合、債務と投資の通貨が異なるため為替リスクを負う。円高になると、ドル建て価格が変わらなくても、投資を円に戻した際の返済原資が減る。調達コストの上昇はリターンをさらに圧縮し得る。融資契約により、貸し手が追加担保を求める可能性もある。現金が必要な投資家がビットコインや他の保有資産を売れば、調達問題が本来無関係な資産に波及する。円調達投資家が現在こうした圧力に直面しているか、規模がどの程度かは不明だ。
日銀のETF売却と民間投資家の調達策は別個の問題だが、共通の市場要因が双方に影響し得る。日本のインフレ見通しと円調達圧力を結び付けるには、実際の借り入れストレスを示す証拠が必要になる。
財務省の週次統計では、対象投資家が10月18~24日に外国長期債を926億円純売却した。外国証券全体では4308億円の純買い越しとなった。他の区分の買いが債券の売却を上回ったため、外国市場からの広範な資金引き揚げを示すものではない。長期債の区分は米国債の売却を特定せず、売却代金を円に換えたことも示さない。統計は指定された大手投資家を対象とし、売却には償還も含む。証券取引を測るもので、資金調達需要を示すものではない。
強制売却を確認するには、調達ストレスと投資ポジションの削減を結び付ける証拠が要る。先物の建玉減少はデレバレッジの傍証になり得るが、投資家がどの通貨で借り入れたかまでは分からない。